試行錯誤
 
昼前、私は毎日、地獄を味わう。
朝は、朝食を少ししか食べられないおかげで、昼前になると、
腹の中心で飯をさけぶ声が聞こえる。略してハラチュー。
 
この声が厄介なのである。例えていうなら、ゴリラの
鳴き声というか、なんというか、ギャオーンな感じである。
もちろん、こんな恥ずかしい音、出せるはずがない。
音が出たら最後、日本という国に住めなくなる。
 
そのため、私は日々、音消しの方法を考えている。
紙をめくる音、イスを引きずる音、など。
最近、「咳」というものを考えついたのだが、これは大失敗だった・・・。
 
昼前、いつものように机の前に座っていると、お腹がすいて声がでそうだった。
来たっ・・・。第一種戦闘配置っ。(心の声で。)
 
想定通り雄たけびが始まった。よしっ!咳っ。
「ゴホッ。ゴホッ。」
ここで私の想定外のことがひとつ起きた。
音が想像以上に伸びている。これは臨機応変に対応せねば。
咳も伸ばそう。
「ゴホッ。ゴホッ。ゴヒャ〜ッ〜 うぉ〜っ。」
 
(・・・しまったっ。鶏の首を絞めたような声になってしまったっ。)
 
その瞬間、室内は凍りついた。
後半の声が余計だった。しまった・・・。
これならば普通にしていたほうが良かったかもしれない。
とにかく、やばい状況にはかわりない。なにか口実は・・・!?
 
そうだ。サンマの骨が喉につっかえたことにしておこう。
いや、でも。こんなとこでサンマを食べていたこと自体に突っ込まれる。
 
劇の練習。そうだ。これだ。今度、劇で死体役やるんです。
いや、でも死体はしゃべらないな・・・。
 
発声練習です。いや、こんな声は普段使わないよなぁ。
 
とにかく救急車がよばれなければなんだっていい。
ひとまずトイレに逃げることにする。
 
とりあえず、ここでこのストーリーは終わったことにしておく。
 
新たな解決策がないまま、私は苦しみ続けている。
何かいい方法はないものか・・・。
誰か私を助けてください。