| 今、パソコンデスクの上を虫が這っている。 |
| なんの変哲もないただの小さい虫だ。 |
| 私は、条件反射的にティッシュへと手が伸びる。 |
| ティッシュを2、3枚わしづかみにし、虫に狙いを定める。 |
| ・・・。 |
| この虫も生きとるんだなあ。なんか、殺すのがかわいそうになってきた。 |
| おっと、いけない。たかが虫に愛着を持つところだった。 |
| ・・・。 |
| いや、私にはできない。そんな残酷なこと。イエス・キリストが許すはずがない。 |
| こんな小さなものにも命はあるんだなあ。 |
| おっと、いけない。たかが虫に餌をあげてしまうところだった。 |
| ・・・。 |
| しかし、こうしてみていると虫ってかわいそう。 |
| 別に人間に害を加えるわけではなく、ただ、いるだけなのに、 |
| 見つかれば、ティッシュでポイである。哀れ。 |
| おっと、いけない。たかが虫に名前をつけてしまうところだった。 |
| ごめん。虫。プチッ。 |
| 秋も近い夏のある夜の刹那のできごとであった。 |